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    • 2011.05.01 Sunday
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    武士の一分 あるいは 盲目剣谺返し

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      実は昨年末の12月も早々に観ていた「武士の一分」なのであるが、観終わってからもどことなく釈然としないものを感じたので、原作を再度読み返してから考え直そうと思って年を越していた。新年の寿がれるなか再読した「盲目剣谺返し」である。しかしながらやはり 映画・武士の一分を観終わったときの腑に落ちなさ加減は払拭されるばかりか益々増えてしまったのであった。

      ↓以降ネタバレ含みます。
      映画の内容については公開前の宣伝番組やら公式サイトやらで事前にあれこれ見聞きしていたのだが、原作オタと呼べるほどの熱心な読者でもない藤沢ファンのそれがしにとっては、”まぁまぁいいんじゃないの?”と思えたものであった。恥ずかしながら、藤沢作品の映画化したものについては「蝉しぐれ」しかみていない。ブログでのインプレッションこそ書き上げなかったが、むしろ原作の世界観をTV版(NHK)ともまた違った形でみせてくれたことに大変満足し、そして感動したからこそ敢えてブログ化せずにいたとも言える。監督の黒土三男氏の込めた想いがひしひしと感じられ、こんな映画に作り上げてくれたことに感謝すら覚えた。原作を愛しているからこそのこだわり、そして映像化するからこそのこだわり・・・。今作の監督・山田洋次氏も、藤沢作品をこれだけ取り上げて映画化するのだからさぞや思い入れたっぷりの、しかし映画人ならではのアレンジメントを加えたエンターティメント作品を作っておられるのだろうと、期待したのであった。しかしながら、その期待ははかなくも裏切られたと言わざるを得なかったのである。

      配役についての異論はない。三村役の木村拓也氏は少年の面影残しつつも青年としての落ち着きを感じさせるいい表情をしていた。山田洋次氏が絶賛していた彼のメヂカラとやらも、十分魅力的かつ有効に三村新之丞という青年を演出していたと思う。不貞(と断じてしまうのはかわいそうではある)が発覚したときの怒りに震える三村の目。島田と死闘を演じるときの三村の血走った目など。そして海坂藩のあるとされる山形地方の訛りについても、加世と徳平の二人ともども、なかなか健闘していた。”××でがんす”さえつければなんでもそう聞こえるか?という疑問(?)は残るが、まぁまぁ上出来であろう。言葉の馴染み方については、多少後日TV放映された「たそがれ清兵衛」の真田広之氏に分があるかもしれん。余談だがたそがれ清兵衛のキャストと武士の一分のキャストのかぶり具合にはいささか驚いたものである。いや皆さんベテランで巧いのはわかるのであるが、清兵衛の御蔵役上司、同僚がほぼ毒見役である三村と同じというのはなぁ・・・それってどうなの?と思わずにはいられない。勢いついでに未見の「隠し剣 鬼の爪」についても調べてみたが、やはりちらほらと同じ俳優さんがかぶっているようだ。まぁ・・・いいけど。

      そして脚本については、原作をほぼ踏襲したと思われる構成であるし、ところどころ徳平や毒見役の同僚らに説明セリフっぽいことを語らせて原作を知らない人にもわかりやすいように配慮しつつ、原作を知る人をうんざりさせない程度の匙加減が守られていたように思う。やたらと「がんす」を連発するところは閉口したが、まぁ我慢できる範疇だ。では一体それがしは「武士の一分」のどこにがっかりしたのだろうか?それは多分、島田藤弥との決闘を終えた三村の元へ飯炊き女に身を偽って戻ってきた加世を迎えたときの三村のセリフ。

        ”よく帰って来たな、加世”

      おーい(笑)そんな薄っぺらいことを三村に言わせちゃってどうすんのさ?
      原作に忠実にあれと言いたいわけではない。しかし、三村の禄を守らんと不貞を犯した浅はかな(愚かな行いなれどしかし罪はない)加世の行いについてこそ三村は怒ったが、加世への愛が不変であることなど説明する必要はないはずではないか。東北の小藩の下級武士なれど、武士であり男子である三村にそんな甘ったるいセリフが似合うだろうか(イヤ 似合わない)。

      〜藤沢周平 盲目剣谺返しより〜
      「去年の蕨もまたうまかった。食い物はやはりそなたのつくるものに限る。徳平の手料理はかなわん」
       
      これで十分ではないか。くどいようだが、どこまでも原作に忠実にあれと言いたいのではない。三村新之丞という男なら、なんと言って帰ってきた妻に愛を伝えるであろうか。そこを描いて欲しかったのである。現代の夫婦愛にも通じるものとして、イマドキの素敵な彼氏っぽいダンナになっちまった三村新之丞にがっかりしてしまったのだった。

      他にも重箱の隅をつつけばいろいろとがっかりポイントはある。加世の仇を討つと決めた三村が再び剣を握ってからの描写に、木部孫八郎(演:緒方拳)が絡んでくる。原作ではあくまで独りで剣の勘を取り戻し、遂に”倶ニ死スルヲ以テ、心ト為ス。勝ハ厥ノ中ニ在リ」の境地へ達するのであるが、まぁそこに恩師に再び稽古をつけてもらう描写なぞ挟まずにおられぬ「オトナの事情」が仄見えたりするのがなんとも・・・もにょる。なんだか”緒方拳氏をキャスティングするための無理矢理”みたいな。他にも、毒見役の上司・樋口作之助(演:小林稔侍)が責任をとって腹を切るシーン。誰の介錯も受けず平服で、自宅の仏間で腹を切る・・・そこまでの辱めを受けねばならないほどの失策だったろうか?事態相応の処分として腹を切るのはいいとして。”小林稔侍氏の出番に華を添えるための無理矢理”っぽい。いろいろタイヘンなのねぇ、などと同情はするがその分、スクリーンへの集中が削がれてしまうのは確かであった。三村の従姉妹・以寧(演:桃井かおり)も随分と歳の離れたことになってしまっているが、そこはそれ桃井氏の巧さでカバー。加世を御茶屋界隈で見かけたという噂話を持ってくる下世話加減などそれはそれは巧いのであるがしかし、その以寧を”下衆”だとキレる三村。キレちゃってどうすんのさ(笑)しかもそういうキレたときの木村氏、月9とか東芝日曜劇場とかそんなドラマで観たときとおんなじ顔してる。そう気付いてしまうともうダメ。三村新之丞の仮面が外れて ”キムタク” になってしまうのである。惜しい。

      テレビドラマの時代劇に比べれば、丁寧な作りにはなっているし かといってマニアック過ぎず安定感のある映画である。しかしながらなにか一匙足りないな、と思わずにはいられなかった。悪くはない、でも 良くもない。それってもしかしたら一番ツマンナイってことかもしんない。申し訳ない。

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