事前に
公式サイトすらろくに見ないでぶっつけ本番的鑑賞モードの不真面目さゆえ、劇場に着いたとたんポスターに書いてあること(ニモイさんが出てる、とかウィノナライダーが出てる、とかそういう瑣末なこと)にいちいち声を上げて同行者(という名の相方)の眉を曇らせること数度。しかし
あの「ロスト」のスタッフが総力を挙げて! だの
なぜ、挑むのか だの言われても・・・
挑むのはあんたらやんかー、的な。
今更青春群像劇とか見せられると尻の穴がこちょばゆくなっちゃうし困ったなぁ、なんだかなぁ、いいのかなこんな人が観に来てもよかったのかしらん?とか思ったけども。
いやー、いいッスね。ナニがいいって、みんな若いってことがまずイイ。無駄に元気(笑) 冒頭、未知の敵からお呼びがかかり出向く艦長から艦を任せられるカーク。お、いきなりカークですかと思いきやカークのお父ちゃんであったのだが、このお父ちゃんからして若い。カークママが陣痛でいきり立ってるところをあんだけ冷静に受け止めつつ特攻かませるなんて尋常ではないのだが、やはりああいうことができちゃうのって若さゆえかなと思ったり。名付けのくだりなんて結構泣けるところである。子どもが生まれた喜びと、その喜びを分かち合うべき相手を失う瞬間が同時にやってくるって・・・どやさ?
ULTRAMAN NEXTの真木のヨメさん以上に悲しみと怒り(勝手に死んで行った夫への怒りね)、でもこの子を守らなくちゃいけない使命感とでぐっちゃぐちゃだろうなぁ、と共感しきり。男ってやつぁ、何かってーと英雄になりたがるもんで困るってもんでさぁダンナ。
そしてそんな余韻もぶっ飛ばすのがYoungカーク。父親が伝説になるってどんな気持ちだろう。どんなに周りがエライだの勇敢だの言葉の限りを尽くしたところで、”でも自分と母親を捨てて死んでしまったわけだろうが!”っていう思いと、”でもその父の行いが自分と母親を守ってくれたのだ”っていうのが堂々巡りしちゃうだろう。そりゃグレもするだろうて。しかしそこはカークだから。悩まないね、あんまり(笑)テケトーに理由つけて超越できちゃうんだからこれが。
この後、あれやこれやとYoungカークはやらかしてくれるのだが、それらがすべて
「だってカークだから」で納得できちゃう。カーク恐るべし。
スタトレ自体は好きだったが、本格的に好きになったのはTNG(STARTREK:The Next Generation)から なそれがし。冷静沈着、でも奥底に熱い情熱を秘めたピカードこそ我が憧れの指揮官だった。ボーグに同化されて尚そのトラウマと闘い、時に弱音も吐きながらも強い統率力で指揮するピカードとその信頼に応えるクルーたちの姿こそが憧れの未来であった。清冽な強い心をもってすればいつか世界は変わる、そう信じたい自分。これも又若さゆえだったのかなぁと現実に引き戻されては思うのである。実際、TNGでも現実世界さながらに理想の結末とはほど遠い幕引きを余儀なくされることもしばしばあった。これは後のスタトレシリーズすべてに言えることだろう。現実世界に引きづられてしまったというか。ファンであるそれがし自身も、ENT(STARTREK:ENTerprise)での微妙な現実世界との間の取り方にもにょってしまい、”あぁ、さしものロッデンベリーの未来もすたれてしまうのかなぁ”と諦めにも似た気持ちにとらわれたものである。しかししかし。そんな暗いクラーイ時勢なんか
お構いなしな男・カーク参上ですよ。これは必然でしょうな。すべての破壊者・カーク(笑)
しかし本作品、カークがいかにしてカークになり得たかをとんとん拍子で見せてくれて痛快。若いからいつものカークより2割り増し。この上なくカーク。とりあえず本編中ほとんど殴りあい(笑)本来担当すべきお色気方面もスポックに任せちゃうほどである。いやー、どういう事情か知らんがウフーラといちゃつくスポックなんかも見れてなんだかいろいろ新鮮であった。ニモイさん扮する未来のスポックの枯れ具合から想像もつかないような暴れっぷりも散見されるYoungスポック。マッコイは若くてもマッコイだった(笑) どうしようもないくらいのマッコイぶりがいい。あの3人がいかにしてあの3人になり、そしてクルーの信頼関係は如何にして築かれたか。ああいう苦労を分かち合えば、そりゃ命も預けるだろうさ。自分自身過去を振り返り、(命こそはかけなかったが)共に苦労を分かち合った同僚たちとの連帯感を思い出し、ほのぼのしたりもした。こういう感覚を、今の若い世代のどれくらいの子たちが実感できてるんだろうなぁと少し心配になったりもした。我々燃えカス世代なんかより、これから燃えなくちゃいけない世代にぜひそこんところ感じてほしいなぁと思ったり。また、燃えなくちゃ世代にそういう場をこしらえてやって退場する責任みたいなものもちょっこし感じたそれがしなのであった。若いうちの苦労は買ってでもしろとはよく言ったものであるな。うんうん。
二年という時空を超えたコメントであります。
>映画冒頭からご家族で大暴れして「最初からクライマックス」(笑)。
>6つの世界を回ってロッデンベリーの理想を救え(笑)。
公開当時よりも、強い願いになりつつありますねぇ。
出でよ、カーク。通りすがりの船長(笑)
>打たれ強い男、カーク。
ジャッキーチェン並のやられっぷり。右の頬を打たれて
左の頬を差し出すような、そんな誘いうけみたいな男カーク。
Youngカークで次作が撮られているとかいないとか聞きますが
もう一踏ん張りするための元気をYoungカークからもらいたいなと
思いつつ、なんだかお腹いっぱいになりそうな期待をしています。