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    • 2011.05.01 Sunday
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    功名が辻(ニ)

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      司馬先生の日本史授業・ニ時限目。

      今まで読んできた時代物と違って、「かつての日本の実際」が語られる本作は読み進めつつ、戻って人名を確かめたり見知った地名の登場に胸躍らせたりとなかなかに忙しい。一巻ではほぼ無名に等しい一豊も、二巻ともなると掛川六万石の大名となり、天下人・秀吉との距離も大分近づく。NHK大河ドラマの第一話を見たのだが、歴史浪漫の再現とはまるでかけ離れた民放トレンディドラマ(死語)かと見紛うばかりのご都合主義的展開でちょっと気分がそがれた。やたらと有名人(秀吉とか信長とか)と接点の多い一豊たち。しかし、本作中での彼らは、そこそこ功名をあげたことによりやっとこさ辿り着いた地位である。秀吉軍の軍勢のどこかに紛れ込んでいる一豊・・・とかの描写を思い出したように無理やり入れ込んでいた一巻とは違い、栄華を極めた後、老いて愚人に成り下がっていく秀吉に仕える一豊夫婦は、正に天下をみつめる証人のようである。主人公でありながら、さしたる活躍の場面がないのもツライものがあるが、ぽつりぽつりと愚痴りあったり政局問答してみたりしながら、読者ともどもこの豊臣家と共にたどる日本の歴史を眺めることができるのである。

      実子を地震で失った一豊・千代夫婦と、一度実子に恵まれながら失い、正気を失いかけ再び得た秀頼への愚親ぶりに歯止めを失う秀吉の対比は、フィクションではないのかと思えるほど見事だ。それがしも子を持つ身とあらば、やはり秀次の切腹以降の大虐殺にはなんとも言えぬ後味の悪さを感じ入った。しかもその大虐殺があの鴨川で行われたと思うと、かつて尋ねたあの京の町にどれだけの無念な魂が彷徨っているのか考えただけで重苦しくなる。しみじみと、日本史をちゃんと勉強しなかった自分を悔いているそれがしである。戦国の世を抜け、政の世になってさえ無益な血が流される。しかして現代となっても人は、争うことの堂堂巡りを繰り返しているだけではないのか?と空恐ろしくもなり、またその反面 人の心に残る善は死なずと安堵したり・・・今更ながら、歴史に学ぶことのなんと多きことよと反省しきり。しかし司馬先生の授業は、そんな深刻なホントを突きつけながら、一豊・千代夫婦の仲むつまじき会話を楽しく読ませて緊張をほぐしやる。この夫婦のほのぼの感(というか、一豊のまったり感か)には救われた二巻である。

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